今回は、
「アクリル絵の具より油の方が描きやすい
場面を解説」
というテーマでお話ししていきます。
僕はブログやメルマガなど色々な場所で
絵の具のことや描き方についてお話しして
いますが、
アクリル絵の具について特に解説をしています。
アクリル絵の具や油絵の具は10年以上ずっと
使っていて、
これまでに絵を描き続けています。
こうした経験から絵の具ごとの性質の違いは
かなり分かっているのですが、
アクリル絵の具をメインに使っていると
油絵の具を使った方が描きやすい場面など
も出て来ます。
今回はこの部分について解説していければと
思います。
この話を聞くことで絵の具の使い分けや
混合技法などの考え方について知る事が
できます。
是非参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
アクリル絵の具より油絵の具が便利なシーン
で、今回の結論から言ってしまうと
アクリル絵の具ではなく油絵の具を使って
描いた方が良いシーンは3つあります。
それが
・時間をとって描く時
・絵の具の表情を工夫する時
・物質感を強調したい時
この3つですね。
この部分について掘り下げながら詳しく
解説していこうと思います。
自分の状況に当てはまっているかどうかなど
確認しながら聞いてみてくれると嬉しいです。
柔軟に絵の具を選べるようになるはずです。
アクリルより油絵の具で描く場面①
時間を取って描く時
まず最初が時間を取って描きたい時です。
例えば絵の具をざっくり置いてから
じっくりぼかしていきたい時とか、
グラデーションをゆっくり作りたい時とか
です。
アクリル絵の具は速乾で非常に描き進めるのが
早くなるのですが、
どうしてもそのおかげでゆっくり描く事が
難しいです。
キャンバスに置いた色はすぐに乾くので
後からゆっくりぼかすというのが難しいです。
僕の技法では水をキャンバスにスプレーする
ような描き方をして乾燥を遅められますが、
それでも油絵の具の方が乾燥は断然遅いです。
そういう部分を考えると、
めちゃくちゃゆっくり描きたいという人は
油絵の具の導入を考えても良いでしょう。
アクリルより油絵の具で描く場面②
絵の具の表情を工夫する時
2つ目のアクリルより油絵の具で描いた方が
便利なシーンが、
「絵の具の表情を工夫したい時」です
絵の具の乾燥がものすごく遅い油絵の具は
キャンバスに塗ってから数日は乾燥しません。
そのおかげでキャンバスの絵の具を
拭き取ったり、削り取ったりといった作業が
とてもしやすいです。
アクリル絵の具だと数分で乾燥するので
こうした作業はしづらいんですね。
乾燥後は非常に頑丈な塗膜を形成するので、
絵の具を取ったりする作業はほとんど
できませんからね。
他にも乾燥していない油絵の具に
揮発性油(テレピン)を乗せて部分的に
溶かしたり、
水を乗せたキャンバスに油絵の具を乗せて
弾かせたりとか表情の部分で色々な工夫が
できるのが油絵の具です。
もちろんアクリルだからこそできる絵の具の
表情作りもあります。
すぐに重ねて描いていけるので
重ねる事で生まれる表情はアクリルの方が
作りやすかったりします。
これもお互いやりやすい、やりにく作業は
あるので、
実際に絵の具に触っていく事でわかる部分も
多いですね。
アクリルより油絵の具で描く場面③
物質感を強調したい時
油絵の具は物質感を強調する作業も
行いやすいです。
盛り上げの技法とかですね。
有名な作品だとゴッホの油彩画など
印象派近辺の時代の絵は分かりやすいですね。
油絵らしい大胆なタッチを使って描かれて
います。
こうした表情は油絵の具だと非常に作り
やすいです。
というのも油絵の具は乾燥する過程で
絵の具の体積が減らないからです。
アクリル絵の具は乾燥するときに水分が
抜けて絵の具が縮んでしまいます。
もちろんメディウムを使ったりする事で
厚塗りは可能ですが、
何も考えなくても厚く塗れる油絵の具は
便利です。
ただ乾燥は極端に遅いので、
厚みのある塗り方をした後は管理に
気をつけた方がいいですね。
不用意に触って服が汚れたり
絵が汚れたりしてしまいますからね。
アクリル絵の具・油絵の具に正解はない
こうした話をすると結局どっちを
使えば良いんだよ!と言われてしまいそう
ですが、
正解というものはありません。
あくまでどういう絵を描きたいのか?
という部分に対して自分で判断を
していかないといけないからです。
例えば抽象画を描くという目的があっても
それがどんな抽象画なのか?という部分で
下すべき判断は変わって来ます。
何層も絵の具を重ねた複雑な表情を活かした
絵を描きたいのであれば、
アクリル絵の具の方が良いかもしれません。
重ねるスピードが早くできるので、
より早く複雑な表情を作れるでしょう。
逆に重ねる事よりもキャンバスの上で
絵の具をいじりながら複雑な表情を作る
のであれば、
油絵の具の方が良いかもしれません。
アクリルはすぐに乾燥するので
キャンバスの上でいじるのには向いていない
からです。
こんな感じで絵の具に正解はないんです。
なので自分の理想や目的に合わせて
自分で選択していく必要があります。
混合技法でアクリルと油絵の具どちらも使う
ここまでで、
アクリル絵の具より油の方が描きやすい場面を
解説してきました。
場面によってアクリル絵の具よりも油絵の具が
適した時があるという事ですね。
しかし実際に絵を描いていくと
完全に割り切れない時もあります。
ゆっくり油絵の具で描きたい部分もあるけど
アクリル絵の具でどんどん重ねて描きたい部分
もある・・・どうしよう・・。
みたいな時です。
こういう時は混合技法を使っていくのが
おすすめです。
ここについても少し掘り下げて解説していきます。
アクリル絵の具と油絵の具の混合技法の注意点
アクリル絵の具と油絵の具の混合技法
というのは2つの絵の具をキャンバス内で
2つ合わせて使っていく技法ですね。
これには注意点もあります。
まず原則ルールとして
「油絵の具はアクリル絵の具の上に使う」
というものです。
このルールは絶対に守った方がいいですね。
油絵の具の上にアクリル絵の具を乗せると
剥離するからです。
逆に言えばアクリルの上から油絵の具を
使うのは全く問題ないです。
アクリル絵の具と油絵の具の混合技法を使う場面
どんなときに混合技法を使えるのか?
という話もしていきます。
例として2つほど紹介しますね。
まず一番オーソドックスなのが下地を
作るときです。
下地材としてジェッソと呼ばれる材料は
有名ですが、
これはアクリル系塗料です。
アクリル絵の具の上に油絵の具は使えるので
まずキャンバスの下地材をジェッソで
作ると作業がスピーディーになります。
下地を油絵の具で作ると少し時間が
かかりますからね。
あと油絵の具で作る下地が削りにくいので
平滑に作りにくいという人もいます。
こういう人はジェッソで作ってしまっても
いいでしょね。
2つ目が描写を急ぎたいところと、
大きく作業をしたい部分を合わせて描いていく
ときです。
例えば風景を描くときに、
草の表情を1本1本描いていく際はアクリル
の方が圧倒的に早く効率的に描けます。
すぐに下の層が乾燥するので
上からどんどん描き重ねることができるから
です。
逆に空の部分など、
丹念にゆっくりグラデーションを作りたい時は
油絵の具が便利だったりします。
色をゆっくりキャンバスに置いて、
あとからゆっくりボカしてグラデーションを
作ったり出来るからです。
その際は最初にアクリル絵の具の作業を
済ませておいてから、
後から油絵の具の仕事をしていくのが
良いと思います。
油絵の具で描いた部分の上から油絵の具で
描くことはできないからです。
まとめ
さて、今回は
「アクリル絵の具より油の方が
描きやすい場面を解説」
ということで解説しました。
実際に一緒に使用していく混合技法なども
解説しましたので、
実際にご自身の絵で試してみてもらえると
学習になるんじゃないかなと思います。
では今回はここまで。
今日も元気に頑張っていきましょう!
ではでは!
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