絵を本格的に描き始めようとする方は、まずデッサンなどを学ぶ事が多いのではないでしょうか?
デッサンははとても重要な要素と言えます。
対象の形を観察する能力、美しい比率やリズムの取り方、線描の訓練など、挙げればキリがないほどに重要な要素が詰まっています。
こういった事をデッサンで学ぶ際は、一般的には色の要素を省いて行われます。鉛筆デッサンや木炭デッサンなどを想像してもらうと分かりやすいですね。
そしてデッサンで訓練を積んだ人が、アクリル絵の具や油絵の具、はたまたデジタルイラストに移行して陥りやすい問題の一つが「上手く色をつかえない」というものなんです。
色が滅茶苦茶派手になったりして収集がつかなくなり、絵が台無しになった末に
「自分には色彩センスが無いんだ。色を使うのは諦めよう・・・。」
なんて思う人は意外と多いと思います。
僕も絵を描き始めた当初、全く色が使えずに苦しんでいた時期があります。
しかし色々と学んでいった結果、今ではかなり自在に扱う事ができますし、色が使えることで思い通りの雰囲気を描きだせるようになりました。
やっぱり色を上手く使えると、もっと絵を描くことが楽しくなります。
今回は僕が色使いを勉強するうえで行った実践方法の中から一つをピックアップして皆さんにお伝えしようと思います。
色を使う際に大事なのは統一性
色を使う上で失敗している人を見ると、そのほとんどが統一性が欠けているという点において共通しています。
統一性というのは色を使う上で、非常に重要な要素です。
人が美しいと感じる視覚情報(絵画やイラスト、デザインなど)は、ある程度何かしらの要素で統一されていることがほとんどです。
要素として
・明度
・色相
・彩度
などが主な要素として挙げられると思います。(ここでは色に限定して考えていますが形や線なども視覚の要素として存在します。)
これらを全てでなく、一つか二つ選んで統一させていく事で破綻せずキレイな色使いができるようになります。
言葉で説明しても分かりにくいと思うので画像を使って説明していきますね。
色使いの綺麗な絵とそのカラーパレット
これは実際に僕も色を学ぶ際に使っていた方法なのですが、自分が綺麗、美しいと感じた絵や写真にどのような色が実際に使われているのか、確認していくという方法です。
この色の構成を「カラーパレット」と呼びます。
自分が参考にしている、あるいは描けるようになりたい絵や作家のカラーパレットを知る事で効率よく、どのように色の統一性をもたせているか学ぶ事ができるというわけです。
実際に絵や写真のカラーパレットをみてみよう
まず写真や絵をカラーパレットに分解していきましょう。
「でもそんなのめんどくさそうじゃない?」という声が聞こえてきそうですが、大丈夫です。
写真や絵などの画像情報をアップロードするだけですぐにカラーパレットを無料で表示してくれるサイトがあるんです。
この手のサービスはいくつかあるのですが僕は下の
というサイトを使っています。
使い方は非常に簡単で「画像ファイルを選択」をクリックして使いたい画像データを選択し、下の「画像のカラー成分を抽出」をクリックするだけです。
いくつか参考にやってみた
では実際に写真を使ってカラーパレットを出してみます。
上が使った写真で、その下の画像がカラーパレット画像です。
結構分かりやすく色がリストになって出てきます。綺麗な青空がモチーフの写真です。
このカラーパレットを見てもらえると一目瞭然ですが使われている色のほとんどが青系です。黄色系の色も入ってはいますが、量的には少なく彩度も低くあまり鮮やかではありませんね。
つまり主に色相という要素に統一性を持たせているわけです。
これは写真ですが実際に絵を描く際に、鮮やかな青色を主役にしたい場合は、意図的にこのカラーパレットを参考にして色の配分や強さなどを決めていけば良いわけです。
別の例も見てみましょう。
画像写真とカラーパレットです。
綺麗なパステル調の画像です。
この場合を見てみると最も鮮やかな色味は赤系統ではありますが、赤の分量は決して多くはありません。
色相を統一を統一しているわけではなさそうです。ではどのような要素でまとまりを作っているのでしょうか?
この場合は「明度」で統一性がでています。カラーパレットに極端に暗い色がないことが分かると思います。
この場合は明るい色に統一していますが、中くらいの明るさや、暗めの色だけにして統一性を出せば、また異なった雰囲気を出すことも出来ますね。
最後にもう一例だけ見ましょう。
画像とカラーパレットです。
これは色相に統一性は全くありませんが、ほぼ鮮やかな色だけで構成するという点が統一性になっています。彩度の統一です。
高彩度で統一するというのも1つのやり方と言えるでしょう。
極彩色で有名な、写真家の蜷川実花さんなどはこの高彩度でまとめる配色を使っていますね。
まとめ
一例として写真を使ってカラーパレットを見てみる学習法を紹介してみました。
色を使いこなすのは難しいとは思いますが、今回紹介した方法が上達の手助けになれば幸いです。
もちろん上記で書いたのはあくまで例であり、統一性の組み合わせやパターン
は描き手によって無限にあると思います。
また色に対しての考え方ももちろんこれだけではないです。考え方は100人いれば100通りあります。
ぜひ自分なりの色づかいを研究してみてください。
ちなみに今回は写真を例に使いましたが、画像であれば何でもカラーパレットに変換できるので、参考にしたい画家さんやイラストレーターさんなどがいれば、カラーパレットを見てみて上達に役立てることもできます。
工夫次第で色々役に立つと思います。
では今回はこのへんで失礼します!
また別の記事でお会いしましょう!
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