最近、画材屋に行って沢山の商品を見ると、過去に買って役に立たなかったり使う機会を失ってしまった道具をよく見かけます。
長い間絵を描いていると色々な描き方や絵の具を使うので、当たり前のことではあります。
しかし僕はどうも形から入るタイプみたいで、いくらなんでも無駄な買い物が多すぎます(笑)
部屋には使っていない絵の具がたくさん・・・汗
さて今回はそんな失敗を最小限に抑えるために色々な種類のある絵の具の中から何を買えば良いのか、どれが初心者に扱いやすいか,それぞれの絵の具がどのような特徴をもっているのかメリットとデメリットに分けて書いていこうと思います。
今回は主に
・油絵の具
・アクリル絵の具
・水彩絵の具
の三つに的をしぼってみました。
油絵の具
まずは油絵の具についてですね。
油絵の具というと皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
凸凹してる、重厚な感じ、透明感のある感じ・・
色々なイメージを持たれると思いますが、それぞれすべて間違っていません。
それだけ油絵の具という画材は色々な画風に対応し、歴史に残る作品に使用されてきたという事です。
じゃあ油絵の具を皆使えばいいじゃん!
と思われるかもしれませんが、そう簡単に選択できるようなものでもないのです。
以下でメリットとデメリットを見てみましょう!
メリット
この点についてはメリットともデメリットともとれるのですが、
「乾燥速度の遅さ」
が挙げられます。
他の絵の具より圧倒的に乾燥が遅いのでゆったりと余裕を持って作業が行えます。
何時間もかけて丁寧に絵の具を何色も置いてから、その後にぼかしたり、拭き取ったりする作業が行えるわけです。
色々なテクスチャを丁寧に作りたい場合は重宝する特徴だと思います。
透明度の高さ、厚塗りのしやすさなどもメリットと言えるでしょう。
デメリット
デメリットとしてさっきメリットで挙げた「乾燥速度の遅さ」があります。
たしかに乾燥速度が遅いと作業が急かされずゆっくりできるのですが、その分重ねて描いていく作業が遅れてしまいます。
意外と実際に制作をすると作業ペースは大事な要素に感じられます。水性絵の具なら10分で乾くところを油絵の具は1日から3日ほど待たなくてはなりません。
単純に言えることではありませんが、絵の具の一層に100倍以上作業スピードが違ってしまうという事です。
個人的に保存の難しさというのもデメリットとして感じます。
油絵の具は絵の具が酸化して固まるので、単純に水は蒸発して固まる水性絵の具より扱いが難しい と感じます。
黄変や亀裂の発生など、化学変化で固化する油絵の具ならではの難しさがあるのです。もちろん正しい知識をつけて扱えば防ぐこともできますが、初心者には敷居が高いように思います。
アクリル絵の具
アクリル絵の具は、絵画の世界では油絵の具などと比べると、そこまでメジャーではないかもしれません。アクリル絵の具は製品化され流通してから、まだ100年も経っていないからです。
過去の巨匠達の作品が油絵の具で制作されてきたので、アクリル絵の具の進化や発展はまだまだこれから起こっていくのだと思います。
ではアクリル絵の具を使うメリット、デメリットを見ていきましょう!
メリット
この点は油絵の具とは真逆の性質なのですが、「乾燥速度の速さ」が挙げられると思います。
乾燥速度が速い事によって絵の具の重ね塗りが容易かつ非常に早いスピードで行うことができます。このスピードの差は先ほどの油絵の具の項で書きました。
最近のアクリル絵の具の中には油絵の具に負けないほどの透明度を持った製品もあります。僕が主に使用しているのはリキテックス社の「プライム」シリーズです。
関連記事:リキテックスのアクリル絵の具やメディウムをオススメする7つの理由
透明度が高いという事は非常に重要な要素で、透明色を重ね塗りする「グレーズ技法」が綺麗に行えます。かつては油絵の具の専売特許のように語られていた、このような技法もアクリル絵の具で簡単に行えるようになっているのです。
またアクリル絵の具の特徴として豊富なメディウムが用意されている事が挙げられると思います。
メディウムとは絵の具の性質を変えることの出来る材料のようなものです。
関連記事:[解説]アクリル絵の具のメディウムって?どんな種類があるの?
関連記事:[解説]アクリル絵の具のちょっと変わったメディウムを紹介!
絵の具に混ぜることで簡単に透明度を上げたり硬さを変化させることができます。
デメリット
先ほどメリットで挙げた「乾燥速度の速さ」がデメリットにもなっているかと思います。
乾燥速度が速いとどうしてもぼかしたり、絵の具を拭き取ったりする作業がしにくくなります。作業スピードは上がりますが、どうしても急かされて部分があるかとは思います。
こうした問題を解決するには乾燥を遅らせる「リターダー」というメディウムが便利です。アクリル絵の具に混ぜることで乾燥を遅らせることが出来るのでぼかしたりしやすくなります。
また絵の具を盛り上げずらいというポイントもあります。
油絵の具は厚く絵の具を乗せてから乾燥させても絵の具の量が減らないので厚みを活かしたタッチが簡単に作れるのですが、アクリル絵の具を普通に使っても油絵の具のようにタッチが残りません。
このような問題もメディウムを使って工夫することで解決していく事ができます。個人的にはリキテックス社のヘビーメディウムなどが扱いやすいかと思います。
メディウムは絵の具と混ぜることで絵の具の性質を色々と変化させてくれるので目的に合わせて試してみると楽しいと思います。
水彩絵の具
水彩絵の具はきっと多くの方が使った事のあるポピュラーな絵の具だと思います。
水彩絵の具は大きく分類すると透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具に分けられますが、一般的に水彩絵の具としてつかわれているのは透明水彩絵の具になります。
メリット
透明水彩絵の具は基本的に紙に描いて使います。
アクリル絵の具や油絵の具でキャンバスや板に描く場合、基本的に明るい部分を描く時に、絵の具のホワイトを使って描きます。
しかし紙に描く透明水彩は、明るい部分に紙の白を使うのが基本になります。つまり紙の白を絵の中の明るさとして活かしながら絵の具で暗い部分を加えていくわけです。
このプロセス油絵の具のような重厚な作風とは異なる明るく軽やかな絵肌を作ってくれます。さらっとした絵を描きたい方には水彩絵の具はお勧めできます。
今回の三種類の絵の具の中で一番安価で手に入るのもメリットと言えるかもしれません。
デメリット
しかし初心者の方が満足できる作品を作るには難易度が高い絵の具かもしれません。
支持体(描かれる材料)の紙はキャンバスや板などに比べると、強度が低いので、描き直しなどを行っているうちにボロボロになってしまうことがあるかと思います。
アクリル絵の具でも紙の上に水彩絵の具のように描くことが出来るので、初心者の方は水彩よりアクリル絵の具を買うことをオススメしています。
紙からキャンバス、板など複数の支持体に対応できるので色々試しながら絵を描けると思いますよ。
まとめ
今回はそれぞれの絵の具にたいして自分がメリット、デメリットと感じている所を書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
絵の具は沢山の種類がありそれぞれ特徴が異なります。すべての絵の具のメリットを兼ね揃えた画材などはきっと無いと思います。
大事なことはそれぞれが自分の表現したい世界を見つけて、それに伴う画材の使い方を発見することだと思います。
今回の記事がその一歩の手助けになれば嬉しく思います。
ではでは!次の記事でお会いしましょう!
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