最近、僕はブリューゲルやヒエロニムス・ボスなどの作品が見れる展示に行きました。
北方ルネサンスの一種の狂気じみた集中力や描写力にはいつも驚かされます。
ブリューゲルのバベルの塔などは物凄く小さく人物が描かれていたりするのですが、一人ひとりが絵の中のストーリーで役割を果たしていて観ていて楽しいです。
僕も観てくれる人が飽きずに楽しんでくれるような絵を描けたらと、気持ちを引き締めて制作に挑んでいきたいなぁと思います。
さてさて、今回はそんな北方ルネサンスの代表的するブリューゲルについて、どんな画家だったのか、どんな作品を制作していたのかなどについて解説していこうと思います。
ブリューゲルに興味がある人、北方ルネサンスに興味のある方などは是非読んでみて下さいね!
ブリューゲルのプロフィール
出身地・・・ネーデルラント
活動地域・・・アントウェルペン,ブリュッセル
作風・・・北方ルネサンス
家族・・・息子が二人とも画家
パトロン・・・新興ブルジョワ
趣味・・・人間観察
ブリューゲルってどんな画家?
ブリューゲルは非常に謎に包まれた画家として知られています。
彼の人生の前半は特に分かっていないことが多く、生まれた場所や年すら正確には分かっていないくらいです。
ただ画家としての活動を本格的に開始したのは、アントウェルペンだと言われています。
そこで結婚してから、次にブリュッセルに移ったと言われています。
ブリューゲルはアントウェルペンで高い評価を受けていたにもかかわらず、どうしてその地から離れたのかという事は詳しくわかってはいません。
しかし女性問題が原因ではないかという事は言われています。
もともとブリューゲルは噓ばかりで信用のない女性と付き合っていたらしく、その恋人と別れた後に師匠の娘と結婚したと記録に残っています。
その際に親戚から過去を捨てて新しい生活を始めるようにとアドバイスを受けたらしく、それに従ったためだというのが一説として語られています。
また、ブリュッセルに住居を移してからも彼の人気はとても強く、多くの人々から支持を受けていました。
彼の人生は40年すこしと短いものでしたが、生涯にわたって人気は高かったとされています。
しかしながら、彼の死後長い間(20世紀に入るまで)彼の評価は低く扱われていました。
当時の人気画家であったヒエロニムスボスを模倣した版画を多く作っていたため、オリジナリティのない画家として認識されてしまったからだと思われます。
もちろん油彩画などの作品も残ってはいたのですが、ほとんどがコレクターたちによって所有されていたため人目に触れる機会が無くなってしまったんですね。
人気画家ならではの不遇だと言えるかもしれませんね・・・。
ブリューゲルが活躍したアントウェルペンとブリュッセル
ブリューゲルは画家としてのキャリアをアントウェルペンでスタートさせています。
当時アントウェルペンは非常に活気あふれる商業都市として有名で、美術の市場としても賑わっていました。
多くの若い芸術家が集うなどして、芸術の都としても機能していたんですね。
また、ブリュッセルが晩年を過ごしたブリュッセルは政治の中心的な場所でした。
多くの上流階級の人物達がいたので、画家としてパトロンを見つけるには最適な場所だったのだろうと思います。
しかしながら、当時のネーデルラントは政治的に不安定だったことでも知られています。
スペインに支配されていた時期は民衆は常に不満を抱えており、宗教改革なども同時に起こっていました。
宗教的にも政治的にも亀裂が大きくなると、やがてネーデルラント各地で反乱が起こるようになります。
スペインのフェリペ2世はこうした反乱者を容赦なく処刑していきました。
こうした政治的背景に中で、ブリューゲルは自分を支えていたパトロンを何人か薄なう事になります。
こうしたことがあった事も関係して、晩年の作品には社会への不安感などが感じられるようになりました。
ブリューゲルの「バベルの塔」や「ネーデルラントの諺」
ブリューゲルの代表作品として良く知られているのが「バベルの塔」ではないでしょうか。
バベルの塔は旧約聖書創世記第11章に登場する架空の建築物です。
人間たちが点にも達するほどの高い塔を建てようとしたのですが、それを人間の奢りとして罰するために人々の言語を乱したというお話ですね。
ブリューゲルはこの架空の建築が建てられていく様子を、非常に緻密に、そしてユーモア溢れるイメージで描き上げています。
よく見ると建築に携わっている人々の様子が生き生きと描かれていて、とても面白い作品です。
また彼の代表作として「ネーデルラントの諺(ことわざ)」という作品があります。
沢山の農民たちがそれぞれおしゃべりしていたり、休んでいたり。
明るく楽し気な風景が描かれています。
こうしてみると日常生活を描いている絵に見えますが、実は彼らの行動には一つ一つ意味が隠されているんですね。
ネーデルラントの諺(ことわざ)を表しているんです。
この絵の中だけで100個以上の諺が隠されているらしいです・・。
非常に計画的に構成したであろうことがよくわかります。
当時のネーデルラントでは格言や、風刺が効いた諺などをはじめとする書籍が多く出版されていたので、ブリューゲルもそうした部分に影響を受けたのだと思われます。
愚かな人間が無秩序で不気味な世界を作っているというような風刺がこの絵にも込められているんですね。
まとめ
今回の記事ではブリューゲルがどんな画家だったのか、バベルの塔をはじめとする代表作品などと共に解説してみました。
彼の絵は色々な隠し要素が多く含まれていて、見るたびに新しい発見があったりするのがとても楽しい部分だと思います。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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