絵を描き続けていると、そのうち色々な技法や表現を試したくなってきますよね。
表現の工夫の仕方は沢山あると思います。下地や絵の具の使い方、構図から色使いなど詰めていけばキリが無いです。
そんな工夫の中の一つとして、二種類以上の絵の具を併用するという手法があります。
例えばアクリル絵の具を、油絵具やパステルなどと併用したりといった感じですね。
美術用語でこのような複数のメディア(材料)を使って制作することを「ミクストメディア」と言います。
しかしどういう風にしたら正しく併用できるのか、保存に問題はないのかなどの疑問があると思います。
今回はアクリル絵の具と油絵の具を併用する際のメリットと注意点を書いていこうと思います。
目次
なぜアクリル絵の具と油絵具の併用するのか
アクリル絵の具と油絵の具はそれぞれ使いやすいメリットと使いにくいと感じるデメリットがあると思います。(それぞれの素材についてはこちらの<比較>油絵の具,アクリル絵の具,水彩絵の具…どれを使うべき?という記事で書きました。)
アクリル絵の具は乾燥が速く、重ね描きがスピーディーに行えます。また油絵の具は逆に乾燥が遅いために、ゆったりとした制作が出来ます。ぼかしや拭き取りなどが簡単に行えるんですね。
このように両者の絵の具には違いがあります。
アクリル絵の具と油絵具を併用すると、この乾燥スピードの違いを利用した制作を行うことが出来ます。
普段の油絵の具での制作にアクリル絵の具を導入する!
まず油絵の具をメインにして描いている方がアクリル絵の具を併用することで制作スピードが劇的に上がります。
例えば、下地材にアクリル系下地を使った場合と油絵の具を使った場合を比較してみましょう。
アクリル系下地の「ジェッソ」をキャンバスに一層塗った場合、乾燥するのにかかる時間は大体30分くらいです。厚めに塗っても1時間くらいだと思います。
これが油絵の具になると1日から3日くらいかかってしまうんですね。
なので油絵の具を使って絵を描く場合、下地材をアクリル系に変えてみる、というのも1つの使い方になると思います。
こうすることで作業効率はグンと上がります。もちろん併用する際場合の使い方の一例なので、工夫次第でもっと色々なメリット、使い方があると思います。
アクリル絵の具の制作に油絵の具を導入する!
アクリル絵の具メインの制作に油絵の具を導入するメリットも見ていきましょう。
アクリル絵の具は乾燥が速いためボカシなどの技法が使いずらいです。
この問題はメディウム「リターダー」などを使うことで乾燥を遅らせることが出来るので対応することはできるのですが、油絵の具ほど乾燥スピードを遅くできるわけではありません。
そこで重ね描きが重要な部分をアクリル絵の具で描いておき、ボカシなどの技法が必要な部分を後から油絵の具で描いていくなどの方法を、併用することでとることが出来るわけです。
工夫次第で油絵の具の項と同様に色々な表現にしていくことが可能だと思います。
併用する上で知っておくべき重要な注意点
これはとても重要なことなので読み飛ばさずに読んでほしいのですが、重ねる事の出来る順番にはルールがあります。
例えばアクリル絵の具で下地を作ったり描き込みをするとします。この上から油絵の具を乗せて描いていくのは何の問題もありません。
しかし逆に、油絵の具で下地を作るなり描き込みをした層の上にアクリル絵の具を重ねることは厳禁です。
油絵の具の上にアクリル絵の具をのせても弾いてしまう上に、そうでなかったとしても乾燥後にアクリル絵の具の層が剝がれてしまいます。
下の油絵の具が乾燥していなかった場合、さらに油絵の具の酸化を妨げて油絵の具の層ごと剥落してしまうので絶対に止めましょう。
油絵の具の上にアクリル絵の具のようなハイスピードで乾く絵の具を使いたい場合は、アルキド樹脂絵の具の「アキーラ」という絵の具を使う事をオススメします。
この絵の具は油絵の具の上に描ける上にアクリル絵の具のように早く乾燥するので試してみてください!
まとめ
いかがだったでしょうか?
異なる種類の絵の具を重ねる場合、重ねる順番にルールが存在しますが、それさえ守ることが出来れば、工夫の幅をかなり広げてくれると思います。
色々な画材の自分にとっての長所、短所を探ることで更に良い表現ができることを祈っております!
ではでは今回はこのへんで!
また別の記事でお会いしましょう!
✅電子書籍「絵の仕事で生活するためのロードマップガイド」
✅ビデオ講座「アクリル画技法無料講座」