皆さんは「ロシア構成主義」と呼ばれる美術の運動を知っていますか?ロシア構成主義は1910年にソ連で起こった芸術運動で、キュビズムなどの影響を受けています。
また、この運動は絵画だけでなく、彫刻作品なども多いんです。
この記事では、「ロシア構成主義」にどんな特徴があるのか、どんな代表的画家や作品が生まれていったのかを分かりやすく解説していこうと思います。
ロシア構成主義について知りたいという方は是非読んでみて下さいね!
ロシア構成主義とは?どんな特徴があるの?
ロシア構成主義が生まれた起源は1914年にまで遡ることになります。
ウラジーミル・タトリンという画家がピカソのアトリエを訪問し、キュビズムの絵を実際に観る事になったんです。
そこで、タトリンは絵画のなかのキュビズムを、現実の空間の中で再現しようとします。
そして彼が作った作品は金属や針金を使った「壁画レリーフ」というものを作りました。
その後彼はさらなる試みとしてそうした素材、材料を天井からそのまま吊るした彫刻を制作する事になります。
こうした金属やガラス、プラスチックなどの工業製品素材を使って作品を制作する事で、労働者の民衆と絆を結ぶことが出来ると考えたわけですね。
では実際にどんな画家がいたのかという所も観ていきましょう。
ウラジーミル・タトリン
ウラジーミル・タトリン(1885年12月28日 – 1953年5月31日)
ー年表ー
1902~13年:商船乗組員として働きながら絵画を勉強する
1914年:ピカソのアトリエを訪れる
1915年:「0.10、最後の未来派」展に出品
1919~21年:「第三インターナショナル記念塔」の設計図を作成
1953年:死去
ウラジーミル・タトリンはサーカス団員、大道芸人、船員などをしながら絵画の勉強をしました。
また、1914年にはピカソのアトリエを訪問し、直接キュビズムの作品を観たことで感動したそうです。
彼はそこで観た作品から発想を得て、「壁画レリーフ」や針金でつりさげられた「構成された彫刻」を作り始めます。
こうした作品達は、使われる素材の色や質感などが構成における役割を担っているという「構成主義の基本原理」を表明していました。
タトリンはロシア革命の理想に積極的に関わろうとし、その考えによって効率の良いストーブや暖かい防寒着などをデザインしたんです。
またこの他にも人力飛行機の設計図なども作成していたようですよ。
ナウム・ガポ
ナウム・ガポ(1890年8月5日 – 1977年8月23日)
ー年表ー
1890年:ベルラーシに生まれる
1910年:工学や自然科学を学ぶ
1915年:第一次世界大戦中にオスロに逃亡する。幾何学的な彫刻を制作
1920年:「リアリズム宣言」を発表する
1922年:ベルリンに滞在する
1946年:アメリカへ移住、記念碑彫刻を制作
ナウム・ガポの兄も芸術家であり、その名前と区別するために「ナウム・ガポ」と名乗り活動することになったようです。
彼は1914~15年に、キュビズムやアッサンブラージュの作品に触れ少なからず影響を受けたようです。
1917年、彼と兄はロシアへ帰国し、ガボが彫刻作品を発表する際に初めて「構成主義」という名称を使い始めます。
彼と兄は1920年に自分たちの作品を抽象と呼ぶ人たちへ対し「リアリズム宣言」を発表しました。
その後、彼は西欧に滞在し続けることになります。
アントワーヌ・ペヴスナー
アントワーヌ・ペヴスナー(1886年1月18日 – 1962年4月12日)
ー年表ー
1886年:ロシアで誕生
1911~14年:パリでモディリアーニと親しくなる
1915~17年:弟のガポとオスロに住むが、ロシアへ帰国する
1920年:弟のガポと共に「リアリズム宣言」を発表
1923年:ロシアを去りパリへ
1930年:フランスの国籍を取得
1962年:レジオン・ドヌール勲章を受章するが一年後に死去
1902~09年にかけてキエフの美術学校へ通いました
その後、サンクトペテルブルク・アカデミーで学ぶことになります。
1911年になるとパリへ移り、そこでキュビズム絵画の制作を行いました。
モスクワ美術学校で教員をしながら過ごします。
1920年には弟と共に「リアリズム宣言」を発表し、構成主義の考えを広める事に力を入れました。
またペウズナーは1923年にロシアを去り、パリで多くの彫刻作品を制作しました。
まとめ
今回の記事では「ロシア構成主義」という20世紀初期に起こった芸術活動について、その特徴や、代表的な画家や作品を解説してみました。
ロシア構成主義は当時の政治情勢と強くかかわりあった芸術活動で、現在の日本の美術などと比べるとかなり尖った感じがしますね(笑)。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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