皆さんはシュルレアリスムと呼ばれる美術の活動を知っていますか?
元々は文学や政治の運動として始まったのですが、後々絵画、写真、映画などの芸術分野にも大きく影響を与えました。
心理学者のフロイトが考えた理論から出発した運動で、夢の中の画像などを使って潜在意識を露出させる内容でした。
今回はこのシュルレアリスムとよばれる活動の特徴や、画家と作品について解説していこうと思います。
シュルレアリスムについて知りたい方は是非読んでみて下さい!
シュルレアリスムとは?どんな特徴があるの?

もっとも初期のシュルレアリスムの活動は、詩人であり理論家のアンドレ・ブルトンによってスタートしました。
彼は最初のシュルレアリスト宣言を発表、1924年には「シュルレアリスト革命」を発刊しました。
ブルトンと彼の同士は潜在意識を用いることで、非常に自由な想像力を掻き立てようと考えたんですね。
彼らは、視覚的な芸術の中で最もこうした表現が可能になると考え、こうした考えは絵画表現が発展するきっかけになっていきました。
では、実際にシュルレアリストとして活動した画家を紹介していこうと思います。
マックス・エルンスト

マックス・エルンスト(1891年4月2日 – 1976年4月1日)
ー年表ー
1914~18年:第一次世界大戦に砲兵を務める
1918年:結婚する
1922年:パリへ移住する
1939年:従軍する
1941年:ニューヨークへ移住
1942年:収集家のペギー・グッゲンハイムと結婚
1946年:ドロテア・タニングと結婚(これが四度目の結婚)
1976年:死去
マックス・エルンストはジークムント・フロイトの本に影響を受け、無意識と精神病患者の絵画に興味を持った画家です。
エルンスト自身が幼少時代に幻覚を覚えたことも関係しているのだと思います。
そして彼が本格的に絵を描き始めたのがボン大学哲学学科の学生時代でした。
1922年にはパリに移り住み、シュルレアリスムの画家達と親しくなったようです。
彼が目指していたのは無意識の世界を表現することで、そのために色々な手法を試しました。
フロッタージュ技法や、偶然に作られた模様の中にイメージを発見するデカルコマニーなどの技法も取り入れました。
これだけでなく、廃棄物や雑誌などもコラージュに使い、シュルレアリスムとして多くの表現に挑戦した画家と言えます。



ジョルジョ・デ・キリコ

ジョルジョ・デ・キリコ(1888年7月10日 – 1978年11月20日)
ー年表ー
1888年:イタリア人の家族の元に生まれる
1910年:トレードマークの街角の絵を描き始める
1911年:パリへ移住する
1915年:軍隊に入る
1917年:未来派の画家カルロ・カッラと共に「形而上絵画」を確立
1978年:死去
ジョルジョ・デ・キリコは身近で見慣れた風景を、違和感を覚えるような景色として描き上げる画家として知られています。
その空虚な風景には人物は存在せず、マネキンや正体の分からない影などが描かれており鑑賞者を不安にさせます。
彼はアテネとフィレンツェで絵を学んでおり、その後にミュンヘン美術学校にも通いました。
そこでは哲学者のニーチェ、象徴主義画家のアーノルド・ベックリンなどから大きく影響を受けます。
1911年にパリに移り住むと、ピカソなどにも出会いました。
シュルレアリスム運動ではとても大きな役割を担い、また当時の小説家や画家にも大きな影響を与えた存在だと言えます。



サルバドール・ダリ

サルバドール・ダリ(1904年5月11日 – 1989年1月23日)
ー年表ー
1904年:公証人の家庭で生まれる
1914年:絵画を学ぶ
1928年:ピカソやミロと出会う
1929年:シュルレアリスムのグループへ参加する
1940~48年:アメリカへ移住する
1941年:ニューヨーク近代美術館で回顧展を開催
1942年:自伝の「サルバドール・ダリの秘められた生涯」を出版する
1974年:ダリ劇場美術館が開館する
1989年:死去
シュルレアリスムで最も有名で功績を残したのが、サルバドール・ダリなのではないかと思います。
幻想的で夢のような世界を描く画風、かなり目立つ独特の風貌で知られています。
幼少期は暴力的で、ヒステリーになることも多かったのですが、後期の作品ではそういった経験が作品に反映されていきました。
他のシュルレアリスムの画家と同じように、彼もフロイトの本に影響を受け空想的なイメージを探求することになります。
その作品には性的不安、偏執狂、嫌悪感などが強く表れています。
また、晩年には自分の作品を集めた美術館を設立しました。



まとめ
今回の記事では近代の美術の中でも広く知られているシュルレアリスムについて解説してみました。
シュルレアリスムは空想的で不思議な作品が多く、個人的には観ていて面白いなと思います。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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