絵を学びたい!という方の中にはデッサンからしっかりやりたいという方もいるかと思います。
デッサンは絵の具やキャンバスも使わずに、ある程度価格の低い画材で絵を描く訓練が出来ます。
デッサンには絵を描く上で重要なエッセンスが詰まっています。基本的な描写力を鍛えるという点はもちろんです。
そしてその上でシンプルな画材、材料をいかに美しく扱えるか、という「表現力」を磨く上でも非常に重要と言えます。
デッサンに使う画材としては
・鉛筆
・木炭
を初心者の方にはお勧めします。
自分はこの2つの画材で伸ばせる能力がそれぞれ異なると思っています。材料の持っている特性が全く異なるからです。
今回はこの両者の違い、特徴を解説していこうと思います。
目次
鉛筆は細かい観察力、描写力をつけるのに最適!
鉛筆はきっと誰もが触ったことがあるメジャーな画材かと思います。
一般的には画材というよりは文房具として文字を書く用途がメインですね。
おそらくデッサン初心者が真っ先に使う画材は鉛筆かと思います。
僕も鉛筆でデッサンを始める事には賛成です。
しかし鉛筆では学びにくいことがあるという点を知っておく事も重要です。
もちろん鉛筆をデッサンに使うことで学びやすい点もあるので両方を知っておくと良いかと思います。
鉛筆の向き不向き
まずはじめに鉛筆の特性として、芯が細く、ある程度の硬度があるという点が挙げられるかと思います。
これは鉛筆の大きなメリットのひとつです。削ることで簡単に細い芯を維持できるので、細かい描写が簡単に行えます。つまり密度の細かい観察力を養うのに向いています。
これは鉛筆を使う上で大きな要素だと思います。
後に説明しますが木炭などは細かい部分を描くのにはあまり向いていない素材です。素材自体が柔らかく先も簡単に潰れてしまうからです。(これはコンテやパステルなども同じことが言えます。)
また鉛筆は薄く描いた部分が練りけしや消しゴムで簡単に消すことが出来ます。他のデッサン画材だと意外と鉛筆ほど簡単には消えてくれません。初心者の方には安心できる要素かもしれませんね。
逆に鉛筆が向いていない要素としては、細かい部分には向いているが、広い面積の仕事は向いていないという部分があると思います。
単純に広い面積に色を置くというこは工夫次第で可能なので、色の発色自体に癖があるといったほうが適切かもしれません。
鉛筆は素材の性質上、どうしても金属光沢のようなムラが出てしまいがちです。そして黒く乗せた色を、綺麗に落として微妙な明るさを作るといった作業が難しいのです。
つまり総括すると暗めの色を繊細に塗っていく作業にあまり向いていない、と言えます。
おすすめのメーカー
これはあくまで各々の使いやすさや目的によって変わる部分なので参考程度に読んでもらえればと思います。
僕は鉛筆を使う際、明るい部分と暗い部分で使うメーカーを分けています。
具体的には明るい部分にはステッドラーというメーカーを使って、暗い部分にはuniを使っています。
それぞれの綺麗に発色する色の範囲が違うので分けてます。繰り返しますが、これはあくまで僕個人の感想による部分が大きいので、あまり参考にしすぎず、自分で使いやすいメーカーを見つけたほうが良いと思います。
黒い発色の綺麗なのは木炭
木炭はデッサン用画材としてはメジャーです。美術大学(主に油画科)の受験に長い間使われ続けているので、美術の道を志す人はかなりの割合で使用しているのではないかと思います。
そして木炭デッサンは鉛筆デッサンに比べると難易度はかなり高いと言えると思います。
もちろん鉛筆デッサンよりも木炭で行うデッサンが好きな方も沢山いるのですが、一般的な生活で使われることのない画材なので初心者の方は慣れるのに時間がかかるかもしれません。
しかし使い慣れると一枚のデッサンを仕上げるの時間はかなり早くなるのではないかと思います。
これは鉛筆が狭い範囲の描写に適していたのに対して、木炭が広い面積の作業に向いているからです。
鉛筆と違いかなり柔らかく、簡単に暗い色を乗せることが出来るので色(調子)をたっぷりと使ったデッサンを描くことができます。
また鉛筆と違い、木炭はかなり暗く乗せたあとから粉を落として明るくできます。こういった点も木炭が鉛筆よりも色を使うのに有利な画材と言える理由の一つですね。
おすすめの木炭
僕がよく使っていたメーカーは「伊研」の木炭です。かなり色々種類の木炭が発売されています。
たくさん種類があって迷ってしまうと思うので、一番オーソドックスな描き味の 「伊研 木炭 №360」 を紹介します。
これは柳から作られた木炭です。
暗い所から明るい所までこれ一本で描く人もいるほど、木炭の中では使いやすいです。まずはこれを買ってみることをオススメします。
芯抜きは必須
木炭を使うときには必ず芯抜きが必要になるので、一緒に買っておきましょう。
木炭はほとんどが使う前に芯を抜かなければいけません。使い方は難しくありません。
芯抜きを木炭の芯部分に指すと芯が粉になって落ちます。そうすることで芯が紙に引っかかることなく描けるわけです。
芯抜きは基本的にどのメーカーの物を買っても良いですが、僕はARTETJEの芯抜きを使っていました。
紙を使う際には木炭紙が便利!
木炭を使う際は木炭専用紙を使うと描きやすいです。
木炭は粉が非常に細かく紙に付くので、普通の紙のようにツルツルしていると全く木炭が紙に付きません。色が全然黒くなってくれないんです。
木炭紙は木炭のために作られているので、細かい凹凸が付いていて非常に木炭が画面に定着しやすいです。
もちろん付きやすいといっても木炭の性質上、定着力は弱いので簡単に消して明るくしたりはできますよ。
描いた後はフェキサチーフで定着させよう
木炭、デッサンどちらにも言えますが、デッサン系の画材は非常に定着力が弱いです。
描いたまま放置すると粉が落ちて紙を汚したり、描いた部分が落ちてしまいます。
描いた後はデッサン用の定着材である「フェキサチーフ」をしっかりかけておきましょう。
スプレータイプのものは非常に扱いが簡単なのでおすすめですよ。
練りけしはもっておこう
デッサンをしていくうえで、消すという行為は非常に重要です。
例えば暗く描いた後から、消しゴムや練りけしで消すことで明るい部分を描くことが出来るからです。
デッサンにおいて消すという行為は描くというテクニックになるんですね。
消しゴムを使ってもいいのですが、個人的には練りけしの方がおすすめです。練りけしなら細かくちぎって使うことで消すときのタッチの大きさから強さまでコントロールできるからです。
まとめ
今回は初心者がデッサンを始める際に必要最低限の道具について書いてみました。
デッサンを行う上で細かいテクニックは表現力の向上に繋がるのでもちろん大事ですが、シンプルな画材を上手く使いこなすのもデッサンの醍醐味の一つかなと思います。
もちろんテクニックを駆使するために他に色々な道具を買い足すのもありですが、限られた道具を使ってデッサンしてみるのも基礎力向上に役に立つかなと思いますよ。
では今回の記事はここまで!
また別の記事で会いましょう!
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