絵を描く人にとって最も難しいのは人物デッサンなのではないでしょうか?
僕も絵を本格的に勉強し始めた当初は、なかなか上手く描けずに苦労した記憶があります。
人物画は静物画のように止まっているものでもないですし、普段から最も見慣れているモチーフなのでバランスや構造がおかしいとすぐにバレてしまうんですね。
僕は基本的に人物画を描く時は人体の構造やプロポーション(比率)をある程度知ってから描く方が楽なのではないかと思います。
これは先ほども書いた静物画などのジャンルとは違う特徴の1つなのではないでしょうか。
そしてこの特徴であり、学習しなくてはいけない部分の知識を得るには参考書が必須であると考えています。
かつてモナリザなどで有名な「レオナルド・ダ・ヴィンチ」は人体における知識を得るために解剖の現場に立ち会ったという記録が残っていますが、 僕たちはそんな事はなかなか出来ませんからね(笑)。
というわけで今回はキャラクターの絵や人物画を描くために役に立つ参考書を紹介していこうと思います!
紹介する本のタイトルは
「人体のデッサン技法」
です。
直球なタイトルで良いですね(笑)。
こちらの本は「Jack Hamm」という方が書いた海外の書籍を日本語に訳したものです。
以前、
という記事で風景画の学習にオススメした風景画を描く際の参考書と同じ著者の方です。
今回はこの本のそれぞれの章を紹介しながら、この本のおすすめポイントを説明していこうと思います。
人物デッサンを勉強したい方は是非この記事を読んでみて下さいね!
顔の描き方!
顔の描き方が最初の章に載っています。
顔のプロポーションについての解説が非常にわかりやすく載っていると思います。
顔の横幅は目何個分の幅であるなどの比率関係がしっかり載っているので、とても実践的な知識をえられるのではないでしょうか。
そうした説明が文章よりイラストでの解説がメインなので、直感的に分かりやすく良いですね。
比率の説明だけではなく目、口、鼻、耳などの各部の細かい解説も載っていますよ。
ディティールに特化した内容で、例えば目の描き方の章だと
「目が自然に濡れている状態を表すために、下まぶたのカーブが一番低くなっている所にハイライトを入れる」だとか
「目尻にはまつげが全く生えない切れ目の部分があり、目の全体にまつ毛を描くのは間違いである。ただ長いまつ毛が目の周りに影を作り出すので影を丹念に描くと良い。」
など具体的なアドバイスがたくさん載っていました。
髪の描き方
髪は初心者の方、描き始めたばかりの方には難しい部分になるのかもしれません。
この本では髪の描き方が
・男性と女性の髪の違い
・明るい色の髪の描き方
・暗い色の髪の描き方
・大まかな髪の描き方
など色々なポイントから見てイラストで解説されているので、初心者の方でもとっつきやすいのではないでしょうか。
様々年代の描き分け方
個人的にはここが面白いと感じました。当てられているページは数ページほどですが、豊富なイラストともに子供、青年、老人などの描き分け方法が解説されていました。
例えば子供を描く際に
・頭に比べ顔の割合が小さくなる。
・後頭部が少し突きでている
・首が細い
などこれだけではありませんが、描き分けの際に覚えておくべきポイントが多く書かれていて勉強になりました。
全身の描き方
全身を描くのは一番難しい部分かもしれません。
この本の中では人体の骨格に始まり、
・肢体を単純化する技法
・走り描きによる身体の描き方
・男女の描き分け
・体の動きについて
・三角形を使って体の基本形を描く方法
・描き方を変えて様々なあぷろーチで人体を描く
・腕の動きと人体プロポーションの関係
・T時で人体の色々な部分を解釈する方法
・具体的なスケッチデッサンの手順
などなど、色々な方向と切り口で、全身を描く際のテクニックやポイントが解説されています。
人体を単純な形に置き換えてわかりやすき理解する方法なんかは、かなり役に立つと思いました。
首と肩の描き方
人体デッサンにおいて首まわりは重要な点だと思います。
動物のなかでも人間の首の付き方は特徴的で、人間らしさを作っている部分の1つだからです。
この参考書でも首から方にかけての説明が詳しく載っています。
僕が役に立つと思った部分は
・首から鎖骨に伸びる筋肉の動きが色々なポーズやパターンで紹介されている
・肩まわりを立体的にとらえるために肩甲骨の説明がしっかりされている
上記の点です。
肩部分って骨や筋肉がポーズによって結構動いてくる部分なので、ポーズ別の参考例を多く見ないとなかなか理解しずらい部分なんですね。
色々なイラストが載っているこの本なら、きっと学習しやすいと思います。
腕の描き方
腕を描く上でのポイントもしっかりと抑えられていました。
まず腕の骨や筋肉の基本的な構造や名称が書かれています。
実際に描いていく際に知らなくてはいけない、筋肉が凹む部分、骨が突き出てくる部分が分かりやすいなと思いました。
比率などの基礎知識についてももちろん書いてありますが、色々な角度から見た分かりやすいイラストのおかげで、そういった知識部分だけでなく実際に描く場面で役に立つ技術書になっているんだと思います。
手の描き方
手の解説は表から見た場合、側面から見た場合などにわけて、10段階ほどの描き進め方が載っており非常に丁寧な印象です。
おそらくこの説明をみれば、手を描くのが苦手という方でも描けるのでは、と思います。
またわかりやすく理解するために、筋肉や各部分をパーツ分けするような考え方も載っているので手を描くのが苦手な方は是非読んでみて下さい。
脚、足の描き方
脚は伸ばした状態、かがんだ状態で表面に現れる特徴が異なりますが、それぞれの特徴がしっかり説明されていました。
筋肉や骨の構造も併せて載っているので、基本的な知識を得るところから実際に自分で描いてみるところまで実践できると思います。
個人的には足を描く上でのポイントとして、良いなと思ったのは靴を履いている場合の描き方書かれているところです。
ハイヒールからビジネスシューズまで例とともに載っていますので参考になると思いますよ。
衣服の描き方
この本には服を描く際のポイントも載っています。
人物画の本だと、人体の構造などの説明だけで終わってしまうものもありますが、この本は
・衣服を描く上での様々なシワについての解説
・陰影のつけ方 ・シワの簡略方法
・ポーズによるシワの変化
・簡単にシワが描けるコツ
などいろいろなノウハウが載っており非常に実践的な内容だと思います。
まとめ
今回はJack Hamm著の「人体のデッサン技法」という参考書を紹介してみました。いかがだったでしょうか?
この本は初版が1976年らしく、かなり以前に書かれた本になりますが非常にわかりやすく、しっておくべきノウハウが沢山つめこまれています。
人物画を勉強したい方にはおススメの本なので、是非読んでみて下さいね。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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