僕は絵の勉強をする時は、他の方が描いた作品や書籍などを読んで勉強します。
書籍は初心者にも分かりやすくコツや描き方を解説されているものが沢山あるので読むと参考になるかと思うんです。
中でも僕は海外で発売されたハウツー本が日本語に和訳された参考書もおススメしています。
日本人的な絵の描き方だったり、絵に対する考え方とはちょっと違った観点で描いているものが多く新鮮な気持ちになります。
今回紹介しようと思うのは「Jack Hamm」というアメリカのアーティストが書いた書籍です。
本のタイトルは「風景画の描き方」です。めちゃくちゃ直球で分かりやすいですね(笑)
もともとは「Drawing Scenery: Seascapes and Landscapes: Seascapes Landscapes 」
というタイトルでしたが日本で発売されるにあたってこのようなタイトルになったのでしょう。
この本は1988年に発売されたものということもあり、モノクロでなおかつ挿絵のイラストもちょっと古い感じが否めません。
しかし内容は現代でも通じるほど詰められており、「イラストや作例はたくさん載っているけど肝心の内容が薄い」ような本とは一線を画す本となっています。
どんな題材で絵を描くかにかかわらず必要な考え方や知識から始まり、風景画を描く上で知らなければならないエッセンスがとても沢山詰め込まれています。
また驚くべき点は岩や雲などの1つ1つにたいして捉え方、描き方が詳細に書かれている部分です。
おそらくここまでマニアックな内容の本は日本には無いのではないでしょうか。
ではそんな、JackHamm著「風景画の描き方」を以下の
・わかりやすく解説してくれる「風景画の構図や絵の作り方」 ・マニアックで詳しいモチーフ別の描き方
の2点に焦点を当てて解説していこうと思います!
目次
絵画、イラストを描く上での考え方や理論がわかりやすい!
この本は風景を描く上で必要なモチーフ別の描き方の前に、徹底的に詳しく「絵を描く上で必要な構成、構図の考え方」が書かれています。
内容について具体的に言うと、
・風景画の画面の形について ・鑑賞する人の注意を引く方法 ・焦点について ・空間の分け方について ・空間を分けるときの原則について ・目の動きを誘い出す方法 ・風景画を描く時の原則 ・図形の位置関係 ・絵の内容について ・視覚の導入点について ・絵画における「フォロースルー」について ・空間を上手く分割する方法 ・絵の意図を理解させる要因について ・感動について ・鉛筆と紙について ・形の重要性について ・地面に明るさの変化 ・距離感の出し方 ・奥行と距離について ・明暗の対比
ざっと書いてみてもこれだけの事が書かれています(もちろんこれが全部ではありません)。
風景画だけにとどまらず、どんなモチーフを描くにしても使えるノウハウが集められている感じです。
では自分がこれは役に立つな!良い情報だな!と思った部分を一部だけ紹介してみようと思います。
風景画の奥行と距離の出し方
初心者が勉強したい点として多くの方が「奥行や距離感の出し方」というのがあるのではないでしょうか?
この本ではどういう風に画面上でモチーフを重ねていくか、線を扱うべきかなど、絵画的な部分をイラストを踏まえて分かりやすく解説しています。
風景画の明暗の対比について
明暗が風景画にとって、どのくらい重要か、どのように扱えばいいかなどの情報も書かれています。
とても基本的な事ですが、絵を描く上でずっと考え続けなければいけない要素だと思います。
また、こういった例を見てから絵を見たりすると、また違ったマニアックな視点で鑑賞できるかもしれませんね。
鉛筆と紙について
鉛筆で紙に描くという、いたってシンプルな方法についても書いてあります。
スケッチなどをする際に鉛筆をどうやったら効果的に使えるのか、紙によって生まれるタッチの差などもイラスト付きで書かれています。
画材についてのフォローがあるのは何気に嬉しい点かもしれませんね。
風景画に出てくるモチーフをマニアックに解説している!
僕が面白いと特に面白いと思ったのは岩や雲、木などをそれぞれのパートに分けて詳しく解説しているところです。
この「風景画の描き方」では
・木の描き方
・岩の描き方
・山の描き方
・雲の描き方
・空の描き方
・海の描き方
・湖の描き方
・川の描き方
・滝の描き方
・建物の描き方
のような感じでパート分けされており、そのパート1つ1つでかなり細かく情報が載っています。
すこし内容を紹介してみますね。
木の描き方や説明
木の描き方のパートでは一本の木を描く上でどれだけの要素が入っているのかが描いてある部分があり、マニアックで面白いなと感じました。
ただの枝1つ取っても、
・空を背景にした小枝
・折れた枝
・暗い葉の茂みの枝
・明るくなる枝
など描き分けの説明があったりするんですね。
また「いろいろな木」のコーナーでは38種類もの木のイラストが載っており、風景の中で木を描いたりする場合には非常に参考になるかもしれませんね。面白かったです。
雲の描き方や説明
雲の章もかなり体系的に詳しく書かれています。
雲を10種類に
・絹雲
・絹積雲
・絹層雲
・高積雲
・高層雲
・層積雲
・乱層雲
・積雲
・層雲
・積乱雲
と分けたうえでそれぞれの形や性質の説明がなされています。これはもはや美術の本ではなく科学の本なのでは、というレベルですね(笑)
また日の光によって生まれる演出の違いにも触れていたりするので絵作りを考える際にも役立つのではないでしょうか?
まとめ
今回はJack Hamm著「風景画の描き方」について感想やおススメの点などを書いてみました。
この本は風景画を学びたいという初心者にはもちろんオススメできる本ですし、風景画以外のモチーフを描きたいという方にも是非読んでみてほしい一冊です。
イラストや絵画を描く上での基礎的な構成や構図についても書いてあるので、読んで役に立つこと間違いなしだと思います。
ではでは今回はこの辺で失礼します!
また別の記事も読んでみてくださいね!
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