僕は最近の写実絵画を、雑誌や画集などで見かける機会が多いです。
昔の古典絵画などと比べるとデジタル寄り、写真的なイメージが多いなぁという感想です。
たまにそうした絵画をつまらないという方もいますが僕は結構楽しく見ています。
やっぱり絵の具の積み重ねや、下地との組み合わせであったりと絵画でしか味わえない物質的な美しさがあるので写真とは違いますね。
さてさて、今回の記事ではそんな写真的な絵の作り方を実践していた巨匠「ヨハネス・フェルメール」について解説していこうと思います。
フェルメールに興味のある方は是非読んでみて下さいね!
目次
ヨハネス・フェルメールのプロフィール
生没年・・・1632年10月31日~1675年12月15日
活躍した場所・・・オランダのデルフト
作風・・・バロック
特徴・・・カメラオブスキュラを使った画家として有名
有名な作品・・・「真珠の耳飾りの少女」、「絵画芸術の寓意」など
ヨハネス・フェルメールってどんな画家だったの?
フェルメールは記録に残っている情報が少なく、分かっていない事が多い画家です。
現存していてフェルメールの作品だと言われているもの(まだ結論が出ていないものも含め)は36点ほどで、手紙や日記なども残っていないという、かなり謎が残る人物なんですね。
しかし、当時フェルメールは30歳という若さで画家組合の理事に選ばれており、周りの人物達からは高い信用と評価を得ていたらしい、という事は分かっているそうです。
しかし彼の生活は決して楽なものではありませんでした。
彼は画家としての仕事の他に、家業である美術商の仕事もしていました。
ただ、平和な時代が終わりイギリスやフランスとの戦争が始まると、美術市場は縮小し仕事が無くなってしまったんですね。
多額の借金をしたフェルメールは自己破産を申請し、手元の作品を全て売り払いました。
そして、彼の死後2世紀も人々の記憶から忘れ去られてしまったんです。
また彼の作品は点数の少なさから非常に貴重性の高い美術品としても有名です。
そのため、多くの事件に巻き込まれる事にもなってしまっているんです。
贋作事件、盗難、身代金の人質になるなど、他の画家の作品と比べ圧倒的に多い部類だと思われます。
フェルメールの代名詞としても有名な「カメラ・オブスキュラ」
オランダでは17世紀頃から様々な発明が生まれました。
フェルメールはこうした時代を生きた画家で、最新の技術にとりわけ興味を持っていた人物としても知られています。
自身の制作には光学機器である「カメラ・オブスキュラ」を利用していたと言われているんです。
カメラ・オブスキュラというのはピンホールカメラの元となった機械で、風景を映し出すことでそれを正確になぞることが出来るというものです。
フェルメールの少しピントがボケたような映像的な表現には、こうした機器を使ったことによる効果もあるのだと思います。
また彼の作品には17世紀オランダを思い起こさせるようなモチーフが度々登場します。
彼の有名な作品である「天文学者」や「地理学者」などにはそれぞれ、その時代に使われた学者達のアイテムが描かれています。
「天文学者」では天球技やアストローラヴ(天球観測に使う道具)などが、また地理学者の方には海図や地球儀が描かれているんですね。
フェルメールの有名作品「真珠の耳飾りの少女」「絵画芸術の寓意」
日本でフェルメール作品として有名なのが「真珠の耳飾りの少女」ではないでしょうか?
2012年に開催されたマウリッツハイス美術館展「オランダ・フランドル絵画の至宝」で来日した際にはこの絵を目当てに多くの人で行列が出来ました。
またこの「真珠の耳飾りの少女」をテーマに、ピーター・ウェーバー監督の映画作品も作られており、人気の高さが伺えます。
この「真珠の耳飾りの少女」は大体1665年頃の作品だと言われていて、別名「青いターバンの少女」とも言われているそうです。
またレオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザに対して「北のモナ・リザ」、「オランダのモナ・リザ」なんて風に言われたりもするそうですよ。
この絵のモデルが誰なのかははっきりとは分かっていませんが、一説によるとフェルメールの娘の一人のマリアという人物ではないか?と考えている学者もいます。
あと、この絵のタイトルは「真珠の耳飾りの少女」ですが、実はこの耳飾りは実際は真珠ではないということも言われていますね。
当時の真珠は今よりもずっと高価でフェルメールがモデルに付けさせれたのか?という疑問点もあり、ガラス製の真珠風耳飾りだという説が有力です。
フェルメールの作品として有名な絵に「絵画芸術の寓意」という絵もあります。
この絵は別名「画家のアトリエ」とも言います。
この絵でもフェルメール特有の映像的な光が見て取れます。
同じバロック期で有名なカラヴァッジョなどの強烈な光と比べると、柔らかい印象なのではないかと思います。
この絵のタイトル「絵画芸術の寓意」というのは、この絵に潜んでいる物語を指しています。
単なるアトリエの風景ではないんですね。
このモデルは歴史の女神「クレイオ」に扮しています。
そして、月桂冠やトランペットといったモチーフは名声を象徴するものです。
フェルメール自身の将来獲得するであろう名声を示唆しているのだと思われます。
彼自身が自らの画家人生に対する覚悟や意気込みがここに詰められているんですね。
まとめ
今回の記事ではバロック時代の有名画家「フェルメール」について「真珠の耳飾りの少女」などの代表作と共に解説してみました。
カメラオブスキュラなどの当時の最新技術を取り入れた映像的な画風は、現在の写実絵画と共通するものを感じられます。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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