皆さんは芸術が盛んな場所はどこかと聞かれたら、何と答えますか?
ニューヨークやロンドンなどが今はアートの中心地と言われることがよくあります。
しかしながら20世紀当初、最も影響力のある場所はパリでした(もちろん今でも芸術の都ですが)。
そして1904~29年にかけて芸術の中心地であったパリで、そこで活動を行い勢力のあった画家達を「エコール・ド・パリ」(パリ派とも言う)と呼ばれていました。
今回の記事では、この「エコール・ド・パリ」がどういった特徴があるのか、どういう画家がいてどんな作品を制作していたのかを解説していこうと思います。
エコール・ド・パリの特徴って?
エコール・ド・パリと呼ばれるこの時代には数多くの国からパリへ様々な芸術家が集まってきました。
フランス語が話せようが話せまいが、色々な人達がパリに結集していたんですね。
エコール・ド・パリという名称でくくられてはいるのですが、そう呼ばれる彼らは非常に自由奔放で、共通の思想があったり、芸術運動をしていたわけではありません。
各々が自由に、キュビズム、未来派、抽象画、具象画などの活動をして、議論を交わし合っていました。
そんなエコール・ド・パリと呼ばれる彼らの中には、いったいどんな画家がいて、どんな作品と制作していたのか、実際に見ていこうと思います。
マルク・シャガール
マルク・シャガール(1887年7月7日 – 1985年3月28日)
ー年表ー
1887年:ベルラーシのヴィテブスクで誕生
1906~10年:サンクトペテルブルクで美術を学ぶ
1910年:パリに移住
1915年:結婚する
1918年:ロシア革命の影響でヴィテブスクの美術人民委員になる
1923年:代表作「わが生涯」を制作
1937年:フランスの国籍を取る
1985年:死去
マルク・シャガールは貧しいユダヤ人の家庭で生まれました。
しかし、母親は彼に大きく期待し良い学校に通わせるなど幸福な子供時代を送ったようです。
1906~10年の期間はヴィテブスクとサンクトペテルブルクで絵を学びました。
1910年にシャガールはパリに赴き、芸術家の巣窟であるラ・リューシュと言う建物を訪れ、前衛的な画家達と知り合うことになります。
彼はフォービズムとキュビズムに強い影響を受け、そうした要素から独自の絵画様式を作り上げました。
また、作品の中には子供時代の思い出や、ユダヤの民話や信仰が物語的に描かれています。
シャガールは1930年頃になると大きく評価されるようになり、様々な仕事を受け持つようになりました。
モーリス・ユリトロ
モーリス・ユトリロ(1883年12月26日 – 1955年11月5日)
ー年表ー
1883年:パリで生まれる
1903~05年:この頃に絵を描き始める
1907~10年:厚塗りで教会や町の通りを描く
1922年:母であるシュザンヌ・ヴァラドンと展覧会を開く
1928年:レジオン・ドヌール五等級勲章を受賞
1955年:死去
モーリス・ユトリロは決して健康的な人物だったとは言えず、アルコール中毒やうつ病を患い苦しみながら生活を送っていました。
そんな中、絵を描き始めたのは医者の勧めだったらしいです。
初期の頃は印象派のような絵を描いていましたが、段々と独自の表現をしていくようになります。
特に高く評価されているのが「白の時代」とよばれる1910~16年頃の作品で様々なトーンの白を石膏とのりで塗り重ねるようにして描かれました。
しかし生涯アルコールとうつ病には悩まされ続けたようです。
アメデオ・モディリアーニ
モディリアーニ(1884年7月12日 – 1920年1月24日)
ー年表ー
1884年:ユダヤ人の家庭に生まれる
1902~03年:ヴェネチアとフィレンツェで美術を勉強する
1906年:パリへ移住
1912年:顔の彫刻を制作し、アンデパンダン展に出品
1914~15年:彫刻をやめて絵を描き始める
1919年:療養のために南仏にいたがパリへ戻る
1920年:死去
モディリアーニの作品は非常に特徴的で、女性像がほとんどであり単純化されたフォルムと線で描かれています。
彼は子供の頃から結核によって苦しんでおり、大人になってからもその症状によって悩まされ続けました。
1906年ころにイタリアからパリへ移住すると画家の活動を始め、1909年~14年には彫刻作品の制作に没頭しました。
その後また絵画の制作に戻りましたが、その頃の作品が今では最も高い評価を受けています。
まとめ
今回の記事では「エコール・ド・パリ」はどんな特徴があるのか、どんな画家が活躍し作品を残していったのかを簡単に解説してみました。
エコール・ド・パリの時代は非常にユニークで個性的な画家達が芸術を盛り上げ、活気のあった時代だと思います。
僕もこの時代の美術は好きなので、よく美術館で観たりします。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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