皆さんは「ミニマル・アート」って聞いたことはありますか?
このミニマル・アートというのは20世紀半ばにアメリカでムーブメントになった美術の様式です。
ちょうどこの頃から芸術の中心地がパリなどから、アメリカなどに移って現代美術(現代アート)として隆盛を極めていきます。
今回の記事では、このミニマル・アートにいったいどんな特徴があるのか、代表的なアーティストと作品にはどんなものがあるのかを分かりやすく解説していこうと思います!
ミニマルアートとは?どんな特徴があるの?
ミニマル・アートの指導者のような存在であったのがドナルド・ジャットというアーティストです。
彼はミニマル・アートを「絵画でもなく彫刻でもない芸術」と定義付けていました。
そして、1960~70年の間に大きなムーブメントを起こすことになります。
装飾性を排除し、極限まで単純化された形で成り立つミニマルアートは幾何学的な見た目の物が多い気がします。
幾何学的とはいっても、抽象絵画などの内容、表現とはかなり異なります。
またもう一つの特徴に、スケールの大きさが挙げられるかと思います。
これは鑑賞者を威圧したりするためにそうしているのではなく、観る側の注意を作品を取り巻く空間、そして作品の物体感に注意を向かせるためにこうした作りになっているんですね。
では実際にどんなアーティストがいてどういった作品を作っていたのかを見ていこうと思います。
ドナルド・ジャッド
ドナルド・ジャッド(1928年6月3日 – 1994年2月12日)
ー年表ー
1948年:アート・スチューデンツ・リーグで学ぶ
1949~53年:コロンビア大学で哲学を研究する
1957年:ニューヨークで個展を開催
1959~65年:批評を書くなどの活動も行う
1965年:著書である「スペシフィック・オブジェクト」を出版する
1968年:ホイットニー美術館で回顧展を行う
ドナルド・ジャットは現代美術に大きな影響を与えた人物です。
彼は自らの作品を「スペシフィック・アート」と呼び、それを絵画でも、彫刻でもないものとして発表しました。
その作品は、銅、アルミニウム、プレキシグラスなどの工業製品の素材を元にして作られています。
当初、画家として活動を始めたドナルド・ジャットでしたが、現実世界の空間を表現するためには絵画における錯覚を使わないといけないという問題に悩み、こうした表現方法に至ったと言われています。
こうした作品は様々な素材が使われていますが、一つの作品として統一感があります。
リチャード・セラ
リチャード・セラ(1938年11月2日 – )
ー年表ー
1964年:イェール大学で芸術を学ぶ
1968年:鉛で作る作品を初めて制作する
1981年:ニューヨークに「ティルティッド・アーク」と呼ばれる作品を設置
1987年:「フルクラム」という錆びた鉄の作品をロンドンに設置する
2007年:ニューヨーク近代美術館で回顧展を開催
リチャード・セラはミニマリストの中でも主要な存在です。
彼は鉛や錆びた鉄などを用いて立体作品を制作しました。
彼の作品はそれが置かれる場所との関係が非常に密接です。
「ティルティッド・アーク」という作品がニューヨークのフェデラル・プラザから撤去されようとしたとき、彼はその場所から撤去することは作品を破壊することと同じだと抗議したそうです。
またリチャード・セラの作品には政治的抗議の意味が含まれていることがあり、2006年のホイットニー・ビエンナーレ展ではアメリカ軍によるイラク人捕虜虐待に抗議する作品を出展しました。
ロバート・モリス
ロバート・モリス(1931年2月9日 – )
ー年表ー
1960年:ニューヨークに移住する
1964年:ニューヨークで個展を開催する
1966年:「ミニマル・アートについて」という本を発表。大きな反響を得る
1968年:ニューヨークで「アンチ・フォルム」と呼ばれる作品を展示
1971年:ロンドンのテート・ギャラリーで事故があり展示が中断される
ロバート・モリスもミニマルアートの分野で現代美術に大きな影響を与えた画家の1人です。
彼の単純化された幾何学的構造の作品は、前衛劇団の影響があると言われています。
大きな多面体の合板をギャラリーに置くという作品が、ロバート・モリスの初期作品には多いです。
これは見る側とオブジェにおける空間的、時間的関係を明らかにすることを目的に行われたものです。
モリスはその後、「アンチ・フォルム彫刻」や「ランド・アート」などを制作し、活動の幅を広げています。
まとめ
今回の記事では「ミニマル・アート」についてどんな特徴のある芸術なのか、どういうアーティストがいて作品はどういうものがあるのかを簡単に解説してみました。
ミニマル・アートはアメリカ発祥の芸術で、日本人には少し取っつきにくい現代アートの分野ですが、生まれた理由や背景を知る事で楽しめるのではないかと思いますよ。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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