皆さんはナビ派と呼ばれた美術の活動があったことをしっていますか?
ナビ派は1880年代の終わりに絵画に新たな活力を与えるために活動していた画家のグループです。
ポール・ゴーギャンなどの影響を強く受けており、単純でなおかつ主観的な絵画表現を確立していったんです。
今回の記事ではこのナビ派にどんな特徴があり、どのような画家と作品が誕生していったのかを分かりやすく解説していこうと思います。
ナビ派について知りたい!と言う方は是非読んでみて下さいね!
ナビ派の美術にはどんな特徴があるの?
ナビ派は反体制の色が強い若者の画家たちによって、1880年代の終わりに結成されたグループです。
1888年にポール・セリュジエという画家がゴーギャンに助言を受け、風景画を制作したのですが、その作品からさらに影響をうけた若い画学生がグループを結成したんですね。
それが「ナビ派」の誕生起源です。
ナビ派の特徴の1つとして装飾性が挙げられるかと思います。
多くの画家が大型の装飾的なパネルを使い、印刷美術にも装飾的な要素を取り入れていったんです。
また、ボナールやヴュイヤールはポスターやタペストリー、舞台美術まで多くの分野で活躍しました。
ピエール・ボナール
ピエール・ボナール(1867年10月3日 – 1947年1月23日)
ー年表ー
1867年:フランスの裕福な家庭で誕生
1886~89年:法学生から画家へ
1890年:ドニやヴュイヤールとアトリエを共用し、ナビ派へ参加する
1893年:「ラ・ルヴュ・ブランシュ」に版画が掲載される
1896年:個展開催
1925年:南フランスへ移住
1947年:死去
ボナールはもともと法律を学んでいましたが、後に画家へ転向した人物です。
版画家やデザイナーの仕事で才能を発揮し、フランスではシャンパンのポスターを描いたことで有名になりました。
特徴のある色使いは、版画を制作した経験や日本の浮世絵の影響が強いと言われています。
またボナールの色彩は1900年以降(ナビ派解散以降)に更に鮮やかになっていきます。
1920年頃に南フランスへ移住したボナールは、自分の絵の主題を日の光が当たる風景や室内画へと変遷していきました。
こうした絵のモデルには妻のマルトという女性が度々描かれました。
この時期の絵は、微妙な光のニュアンスや光の効果が巧みに描かれており、「最後の印象派」と呼ばれることもあります。
エデュアール・ヴュイヤール
エドゥアール・ヴュイヤール(1868年11月11日 – 1940年6月21日)
ー年表ー
1868年:中流階級の家に生まれる
1888~89年:アカデミー・ジュリアンに入学し、ナビ派メンバーと出会う
1889年:サロンに出展する
1890年:ボナールやドニと共にナビ派を創立
1891年:個展開催する
1900年:写真や印象派に影響を受け作風が変化していく
1940年:死去
エドゥアール・ヴュイヤールは初期に描いた、家族や友人をモデルにした室内画で広く知られている画家です。
こうした仕事の他にも版画や舞台美術、装飾なども手掛けていました。
ヴュイヤールはアカデミー・ジュリアンに入学し、そこでナビ派のメンバーと出会いました。
特にピエール・ボナールとの関りが強く、アトリエを一緒に使っていた他にも作風が一致しているなどしていました。
また、「ラ・ルヴュ・ブランシュ」という雑誌の編集長である、タデ・ナタンソンと長期にわたる交友があり、その人脈によって数多くの注文があったそうです。
ヴュイヤールの作風は、ゴーギャンの平面性やスーラの分割描法など様々な技法や作風を融合したものでした。
しかし、後期には保守的な作風へ変遷していきました。
モーリス・ドニ
モーリス・ドニ(1870年11月25日 – 1943年11月13日)
ー年表ー
1870年:フランスのノルマンディー地方で生まれる
1890年:ナビ派を結成する
1890年後半:ナビ派が解散する
1922年:『現代美術と宗教美術に関する新理論』という本を出版
1919年:宗教美術アトリエを結成
1943年:死去
モーリス・ドニはナビ派を代表するメンバーであり、理論家でもありました。
印象派に反発しており、後期には宗教画の復興を目指したことで知られています。
彼が20歳の時に
「絵画とは軍馬や裸婦、あるいは何かの逸話である以前に、本質的には一定の秩序の上に集められた色彩で覆われた平面であることを認識するべきである」
と述べており、それがモダニズムの中核ともなっています。
また、ドニの作品は非常に装飾的でした。
まとめ
今回の記事ではナビ派と呼ばれる美術の形式について解説してみました。
ナビ派は反体制の若者がグループを結成して、装飾的な美術作品を生み出していきました。
いつの時代でも保守的なグループと反体制的なグループによって時代は作られていくのだと思います。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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