僕は最近小さいキャンバスに絵を描いているんですが、小さいからすぐに完成する!というワケでもなく逆に骨の折れる作業で、結構苦戦しています・・・(笑)
さて!皆さんは「新即物主義」という美術の運動が第一次世界大戦後にあったのをご存知ですか?
非常に冷めた視線で社会を観察し、それを即物的(客観的)に表現した芸術家たちの運動として知られています。
今回の記事ではこの「新即物主義」について、その特徴やどんな画家がいてどんな作品を作っていたのかなどを分かりやすく解説していこうと思います。
新即物主義について知りたい方は是非読んでみて下さいね!
新即物主義とは?どんな特徴があるの?
「新即物主義」というのは、表現主義などの自らの主観を大事にしよう!といった運動に対して反発し、あくまで客観的に即物的に物事を見つめようとした美術運動です。
運動としてはこのように新即物主義という名前がついてはいますが、実際に固定された様式があったわけではありません。
しかしながら彼らは共通して、社会の冷たさに憤りを覚え、自らの作品でそうした社会に異論を唱えようとしていました。
しかしナチスが勢力が増していく頃になるとこれらの芸術は、極めて退廃的な芸術と判断されて迫害をうけるなどしてしまったようです。
では実際にどんな画家が活躍したのかを見ていきましょう!
ジョージ・グロス
ジョージ・グロス(1893年7月26日 – 1959年7月6日)
ー年表ー
1893年:居酒屋の家庭で生まれる
1909~16年:ドレスデンの美大で絵を学ぶ
1917~22年:ダダイズムの芸術家たちの代表的な存在となる
1928年:冒とく罪で訴えられてしまう
1933年:アメリカへ移住する
1959年:ベルリンに戻り死去
ジョージ・グロスはグラフィックアーティストとして、腕を発揮しました。
そして、非常に鋭く風刺の効いた画風によってブルジョワ社会を一刀両断したんです。
また、彼は美術市場にはほとんど顔を出すことはありませんでした。
共産党の一員だったグロスは、利益を求める画商が作家の個性を作るという理念を持っていたためです。
ダダイズムで活躍していた彼は、1920年頃になると油彩画に取り組み始めました。
そして、資本主義社会のの中で堕落していく人々を風刺していく作品を生み出していく事になります。
北方ルネサンスの巨匠ヒエロニムス・ボスなどの作品にも影響を受けているなどとも言われていて、そこらへんも面白い所かなと思います。
マックス・ベックマン
マックス・ベックマン(1884年2月12日 – 1950年12月28日)
ー年表ー
1884年:ドイツのライプツィヒで生まれる
1900~03年:ヴァイマルで学ぶ
1914~15年:軍の医療部隊で働く。またフランクフルトへ移住した
1947年:アメリカに移住する
1950年:ニューヨークで死去
ベックマンの絵からは強い喪失感や郷愁を感じます。
これは幼少時代に彼の両親が死去していることが原因だと言われています。
1906年に描いた「大いなる死の情景」という作品の中には、母親の死を描いています。
戦前には「タイタニック号の沈没」(1912年)や「ノアの洪水」(1908年)などの災禍をテーマにした大作で有名になりました。
また、1818~23年にはベルリンの光景を悪夢のような表現で描いています。
その後の1920年あたりになるとそれまでと暗い画風とは変わり、空想や神話をテーマにして明るいものになっていきました。
オットー・ディクス
オットー・ディクス(1891年12月2日 – 1969年7月25日)
ー年表ー
1891年:ドイツのゲーラ近郊で生まれる
1905~09年:装飾画家に弟子入りして働く
1909~14年:ドレスデンの美術学校で学ぶ
1914~18年:志願兵になる
1920年:最初の国際ダダ展に出品する
1927~28年:ドレスデンで教員になる
1933~45年:ナチスの迫害から逃れる
1969年:ジンゲンで死去
オットー・ディクスの初期の頃の作風は、キュビズムの影響を強く受けたものになっています。
しかしながら、1920年ころになると作風が変わり古典的な絵を描くようになりました。
先ほど紹介したジョージ・グロスは彼の事を、16世紀のハンス・バルデゥング・グリーンにちなんで、ハンス・バルデゥング・ディクスと呼んでいたみたいですよ。
彼の仕事としては肖像画の仕事が多かったのですが、対象に媚びることなくありのまま描いていたそうです。
まとめ
今回の記事では「新即物主義」と呼ばれた美術の活動について解説してみました。
個人的で主観的な態度によって作品制作が行われた「表現主義」などとは正反対の道を行こうとした美術だといえるとおもいます。
徹底的に冷静に、客観的に「即物的」に表現を行おうとしたという事ですね。
ではでは今回はこの辺で!
また別の記事でお会いしましょう!
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